福島警戒地域:野良化した牛や豚 農家など「研究用」模索
2011年10月25日 11時8分 更新:10月25日 11時46分
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警戒区域内にある福島県の「エム牧場浪江農場」で牛の世話をする吉沢正己牧場長(「希望の牧場」事務局提供)
東京電力福島第1原発事故で半径20キロ圏内を警戒区域に指定し、立ち入りを禁止して半年余り経過した今も、牧草地などで飼育されていた約2000頭の牛などが区域内に生息しているとみられる。間もなく冬を迎える厳しい環境の中、生き残った家畜の衰弱死を懸念する畜産農家や市民団体は、殺処分と衰弱死以外の第3の道として、放射線の影響を研究する対象として生かす道を模索している。
21日、福島県郡山市で、警戒区域内の牛など家畜の命を救うことを目指す団体「希望の牧場~ふくしま~プロジェクト」の意見交換会があった。南相馬市や浪江、楢葉両町など警戒区域内の畜産農家や国会議員、獣医師など約30人が集まり、熱心に議論を交わした。
警戒区域内で黒毛和牛約330頭を飼育していた「エム牧場浪江農場」の吉沢正己牧場長(57)は「牛は被ばくしており、経済的な価値がないのは分かっている。だが、生かしていく道もあるのではないか。牛飼いとしてこのまま見捨てることは絶対にできない」と訴えた。吉沢さんは許可を得て、定期的に餌を与えに戻っている。その際には自分の牧場以外の牛も集まってくるという。
やはり区域内にある大熊町の肉牛繁殖農家の女性(54)は「避難する前に約30頭の牛を放してきた。今も生きていると信じている」と涙ながらに語った。
家畜の無事を願う声がある一方、区域内では野良化した牛や豚が民家に侵入しているケースもあるとされる。
このため同プロジェクトはエム牧場浪江農場をモデル牧場とし、区域内の牛や豚を牧場内に囲い込んだ上で、被ばくした大型哺乳類を研究対象として活用する構想を練る。実現可能性を探り、大学など研究機関との連携も図っている。
5月には大学関係者が家畜の研究活用を政府に要望。筒井信隆副農相が容認する姿勢を見せたものの、一部の豚が研究用に供された他は何も具体化していないのが現状だ。
同プロジェクトによると、原発事故前、区域内には牛約3500頭、豚約3万頭、鶏約68万羽などの家畜がいた。これに対し、国は4月22日、原発から半径20キロ圏内を警戒区域に指定し、5月12日に区域内の家畜の殺処分を決定。これまで約300頭の牛を処分した。鶏や豚などは世話ができないため、水や餌の不足から大半が死んだとみられ、現在は牛を中心に2000頭弱が区域内にいる模様だ。
吉沢さんは「冬までに何とか追い込んで、収容しなければ。今はまだ生きている命。生かす道はあるはず」と憂う。【野呂賢治】
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引用ここまで
原文は、毎日新聞 ニュースサイトの中の
【福島警戒地域:野良化した牛や豚 農家など「研究用」模索】
http://mainichi.jp/select/today/news/20111025k0000e040020000c.html
です。
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『ひなげし陽気』の中の