社説
東日本大震災 原発事故収束?/福島県民は納得できない
ばたばたと年末に、表面的な「実績」を取り繕おうとしたとしか思えない政府の対応である。
福島第1原発事故について政府は16日、「ステップ2」の完了によって事故が収束したとの見方を示した。18日には、来年4月にも全住民が避難している警戒区域や計画的避難区域を再編する考えを地元に伝えた。
矢継ぎ早に公表し、あたかも原発事故の影響がなくなりつつあるかのような印象を与えるが、福島県の現状とは懸け離れている。「事故収束」という甘い認識に、県内から反発の声が上がるのは当然のことだ。
そもそも県内で実感される事故は、まき散らされた放射性物質による被ばくであり、新たな爆発や汚染拡大への恐怖だ。原発内の状況だけが問題になっているわけではない。
それなのに原子炉の「冷温停止」を理由に、事故収束と結論付けられても意味をなさない。
政府や東京電力がしきりに使ってきた「収束」という言葉には、あいまいさが伴っていた。新たな大事故をもたらす要因がなくなりつつあることを意味するのだろうが、一般の人には腑(ふ)に落ちないだろう。
これから全く事故が起きず、放射性物質を放出する可能性もゼロになったというなら収束にも意味があるが、そう言い切れるのだろうか。
信頼できる評価のためには、原子炉や核燃料などがどんな状況になっているのか、具体的に把握しなければならない。それが分からないままでは説得力がない。
基本的な事故の捉え方でまず地元とずれているし、技術的な評価にも十分な信頼が得られていない。結局、これまでに立てたスケジュールをこなしたという、自己満足にすぎないのではないか。
ステップ2完了を受けて、警戒区域などの再編を打ち出したことにも疑問が残る。放射線量を基準にして来年4月、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」に設定し直す方針だが、時期尚早に映る。
確かに避難を強いられている人はできるだけ早期の帰宅を望んでいるが、それが容易でないことも分かっているだろう。
どの地域がどれほどの被ばく線量になるのか詳しく調査することや、放射性物質を取り除く「除染」の効果を具体的に示すことが優先されるべきだ。その後、地元とともに線引きを考えても遅くはない。
避難している区域の見直しは、被災者に早期帰宅への期待を抱かせてしまう。たとえ一部の人に限られるにせよ、確実に帰宅させられる見通しが必要ではないか。
15万人もが避難し、そのうちの6万人が県外で生活する福島県にとって、事故はまさしく進行中であって、以前の生活を取り戻す兆しも見えない。
3月の事故のさなかの対応でさえ、行政には不信の目が向けられている。その上、事故後の対策でも自画自賛の絵ばかり見せられては、不信感は増大していく一方だ。
2011年12月23日金曜日
引用ここまで
原文は、河北新報 ニュースサイトの中の
社説【東日本大震災 原発事故収束?/福島県民は納得できない】
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2011/12/20111223s01.htm
です。
アクセスが急増したり万一記事削除されて読めなくなったときのため、ここにコピペ保存しています。
『ひなげし陽気』の中の「不思議な言葉「冷温停止」」
の参考記事にさせていただきました。