ラベル 2011/06/13-そうだお鍋で発電しよう の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 2011/06/13-そうだお鍋で発電しよう の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年6月13日月曜日

熱伝おもしろ話 第三話

引用ここから


熱伝おもしろ話

第三話「焚火から始まった?──熱電発電の実用化」

 今回は黎明期の熱電発電と比較的最近の熱電発電を比べてみました。

 1821年のゼーベック効果の発見から1834年のペルチエ効果の発見まで、13年間のギャップがあります。このためでしょうか、熱電応用の黎明期には、発電装置への応用が、圧倒的に多いようです。実用的な発電装置は、有名なヨッフェ:A.I.Ioffe(半導体熱電材料が高い性能を持つことを理論的に説明したロシア人の物理学者で、これを解説した著書「半導体熱電冷却」は熱電半導体の聖書と言われています。)の1929年の発表以後、主として旧ソ連で実用化が進められました。

 ヨッフェの考えた半導体材料でも、発電の理論効率はわずか2から4%ですが、それまでの金属を使った場合の効率は0.1%未満でしたから、この理論は画期的でした。

 図1.を見てください。奇妙な形をした鍋で何かを料理している焚火の脇にあるのは無線通信装置です。鍋の底には亜鉛・アンチモン(ZnSb化合物半導体)とコンスタンタン(CuNi合金)が組み合わされた熱電素子が入っています。これは「パルチザンの飯盒(はんごう)」と呼ばれ、旧ソ連で1940年頃、第2次世界大戦(独ソ戦争)で使われていたものです。現代では飯盒を知らない人も多いかと思いますが、山野でのキャンプで使う携帯用の鍋です。もっとも、図の飯盒は普通の飯盒とくらべると家庭用鍋に近い形です。鍋の底の、焚火であぶられる部分の温度は数百℃で、鍋の中身は100℃前後でしょうから、温度差は少なくとも200℃程度はあったのではないでしょうか。熱電発電というと大げさですが焚火発電と言えばぴったりですね。いずれにしても、これが実用的熱電発電の嚆矢と言えるのでは?。

図1.パルチザンの飯盒:焚火による熱電発電(ZnSbとコンスタンタンの組み合わせ)

 図2は家庭で使う石油ランプですが、らんぷの燃焼排ガスが出て行く上部に、ZnSbとコンスタンタンからなる熱電素子を組み込んだ排ガス菅(図の右側)が取り付けてあります。この排ガス菅には大きな冷却フィンが取り付けられ、これによって熱電素子に温度差を与えて発電しているわけです。余談ですが、筆者は、このランプの実物がイタリアのミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館に陳列されてあるのを見たことがあります。当時ソビエト連邦では、国内資源を有効に活用するためとして、1940年代の第一次5ヵ年計画の中に熱電発電が取り入れられていたため、薪やガソリン、灯油などの燃焼熱を利用した200〜 500Wの発電機も北部の寒冷地用電源として実用されていました。ソ連は、まさに熱電発電の先進国だったわけです。

図2.灯油ランプを利用した熱電発電装置

 ソ連における熱電発電機の実用化から、およそ30年後の1970年代になって、米国では、ようやく図3のような熱電発電機が、陸軍で使用する充電器として実用化されました。この発電機は、ガソリン、ジェット燃料、デイーゼル油のいずれも使用でき、発電効率は約3%です。前述した「焚火発電機」の効率はこの発電機よりずっと低かったはずです。図3の発電機の構造を見ると、燃料噴霧器、送風機、バーナーマントルなどが燃料を効率良く燃焼させ、熱電素子に効率良く熱を伝える工夫がされ、比較的高い効率を得ています。この熱電発電機は、当然のことながら、騒音レベルがガソリンエンジン発電機の1/5で、1500 時間メンテナンスフリーであるという特長がありました。でも、うまく機能すれば、ゲリラ戦には「焚火発電機」の方が向いていそうですね。これを改良して、キャンプ用の現代版焚火発電機を考えてみるのもおもしろいのでは?

図3-1


図3-2


図3.液体燃料を熱源とする500W携帯用発電機(鉛・テルル(PbTe)熱電素子)

 図4.は1990年頃、KELKで製造された鉄・珪素(FeSi2)系熱電素子を使って製品化された「ローソクラジオ」です。まぎれもなく熱電発電の応用なのですが、なんとも言えない、のどかな作品です。前述のランプ発電機と比べると、時代や周辺技術の相違による「必然性の違い」が良く分かります。つまり図4は、製品としては、ほとんど趣味の領域ですが、当時、関東大震災に匹敵するであろう東海大地震にそなえた体制の一環として、東京都などの地方自治体が試験的に購入したそうです。ラジオが聞こえるかどうか筆者も試してみましたが、ビルの中なら窓際に行けばNHKならかなり良く聞こえました。しかしコーヒーが沸かせるかどうかは試していません。

図4.ローソク ラジオ

注:(注:内容の多くの部分を上村欣一・西田勲夫の「熱電半導体とその応用,日刊工業1988」から引用しました。また、図1.図2.は上村欣一氏の提供です。)



引用ここまで

原文は、株式会社KELK(旧 小松エレクトロニクス)サイトの中の
「熱伝おもしろ話 第三話」
http://www.kelk.co.jp/useful/netsuden3.html
です。
アクセスが急増したり万一記事削除されて読めなくなったときのため、ここにコピペ保存しています。

ひなげし陽気』の中の「そうだ鍋で発電しよう」の参考記事にさせていただきました。

たき火で湯沸かし、携帯に充電 ベンチャーが「発電鍋」

発電鍋ヒートチャージャーHC-5
http://tes-ne.com/

引用ここから


たき火で湯沸かし、携帯に充電 ベンチャーが「発電鍋」
災害時用、産総研と製品化
2011/6/9 20:36

 たき火でお湯を沸かしながら、ついでに携帯電話機も充電できる――。被災地でも活用できる便利な鍋を産業技術総合研究所の技術移転ベンチャー、TESニューエナジー(大阪府池田市、藤田和博社長)が製品化し、9日発表した。熱源はガスや炭の火など高温なら何でもよく、災害時の非常用電源に役立てたいという。

画像と図
TESニューエナジーが製品化した「発電鍋」。鍋の柄から伸びたコードを携帯に接続して充電する


 同社は温度差を電気に変換する熱電発電技術の企業。直径約16センチメートルの小型鍋の底に板状の熱電発電器を組み込んだ。火が当たる側は550度程度、お湯のある側は100度になるため、温度差で発電できる。

 電圧5ボルトで最大出力2ワットの電気を作り出せる。鍋の柄から伸びたコードを携帯電話機につなぎ、3~5時間でフル充電できる。USB方式の接続なら携帯音楽プレーヤーやラジオなどにも充電が可能だ。

 東日本大震災を受けて急きょ製品化、「発電鍋ヒートチャージャーHC―5」として来週、発売する予定。価格は2万3000円(税別)。要望があれば別サイズの鍋でも可能。ドラム缶で燃やして使うような、出力がより高い発電機も開発する考え。


*太陽光・食糧備蓄など、「災害に強い住宅」の契約堅調 (2011/5/28 4:30)
*20万円切る蓄電池 家庭用に電動バイク向け転用 (2011/6/1 4:00) [有料会員限定]
*ソフトバンク、休耕田を太陽光発電に利用 (2011/5/26 4:00)
*節電対策に商機 清水建・コニカミノルタ…業界問わず (2011/5/31 0:45) [有料会員限定]
*家庭用蓄電池、今秋メド発売 伊藤忠エネクス (2011/5/23 23:38) [有料会員限定]



引用ここまで

原文は、日経新聞ニュースサイトの中の
【たき火で湯沸かし、携帯に充電 ベンチャーが「発電鍋」】
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E2EBE2E1868DE2EBE2E4E0E2E3E39180EAE2E2E2
です。
画像は、
アクセスが急増したり万一記事削除されて読めなくなったときのため、ここにコピペ保存しています。

ひなげし陽気』の中の「そうだ鍋で発電しよう」の参考記事にさせていただきました。