イタリア脱原発 国民が直接選択した重み
2011年6月15日 10:42
「イタリアは原発にさよならを言わなければならないだろう」。原発再開を推し進めていたベルルスコーニ首相も、敗北を宣言せざるを得なかった。
イタリアで原発再開の是非を問う国民投票が実施され、反原発票が9割を超す圧倒的多数を占めた。国民は明確に「脱原発」の意思表示をしたといえる。結果を受け、首相は再開を断念し代替エネルギー開発に取り組む意向を表明した。
イタリアではチェルノブイリ原発事故後、1987年の国民投票で原発廃止を決め、国内に4カ所あった原発の稼働を停止した。だが、現政権は2008年、新規建設を含めた原発再開の方針を表明した。これに対し、野党が国民投票を求め、今年1月に実施が決まった。
当初、国民の関心はそれほど高くないとみられていた。ところが、東京電力福島第1原発事故の発生で状況が一変し、反原発の世論が一気に高まった。首相は国民投票の回避を図ったが、世論の勢いを止めることはできなかった。
福島原発の事故後、国民投票で「脱原発」を決めたのはイタリアが初めてだが、ドイツでは政府が22年までに全原発の閉鎖を決定し、スイスも34年までの原発廃炉を決めている。イタリアが加わり、「脱原発」の流れは一層強まった。
一方、「原発大国」のフランスは原発推進の姿勢を崩さず、英国も原発維持の方針だ。東欧諸国も自前のエネルギー源確保のために原発重視の政策をとっており、欧州は「脱原発」と「原発維持」の二極分化の様相を見せ始めた。
イタリアの場合、慢性的な電力不足を補うため、現在でもフランスから電力を輸入している。自然エネルギーの開発もドイツほど進んでおらず、脱原発の社会像を完全に描けているとは言い難い。
ただ、イタリアのケースで重要なのは、原発とエネルギーという国の将来や国民の安全に関わる政策を、国民投票で直接国民に問いかけ、決定したことだ。
福島原発事故はもちろん、日本の世論にも大きな影響を与えている。共同通信社が5月中旬に実施した世論調査では、原発を今後「直ちに廃止すべきだ」「減らすべきだ」の合計が53・0%となり、「現状維持」は38・5%だった。
こうした世論の動きを現実の政策に反映させるために、脱原発派も原発維持派も、その利点やリスク、実現への工程表などの判断材料を示し、徹底的に論議したうえで、最後は国民が選択する。そのプロセスが不可欠だ。
複雑で難しい問題でも、政治家や専門家だけに任せてはおけない-。そうした国民の危機感は、日本もイタリアも同じではなかろうか。
日本には制度上、憲法改正以外の個別テーマでの国民投票は存在しない。しかし、やがて行われる総選挙では、原発政策が主要な争点になるのは確実だろう。その際には、「事実上の国民投票」と呼べるほどの政策論争が望まれる。
=2011/06/15付 西日本新聞朝刊=
引用ここまで
原文は、西日本新聞ニュースサイトの中の
「イタリア脱原発 国民が直接選択した重み」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/247193
です。
アクセスが急増したり万一記事削除されて読めなくなったときのため、ここにコピペ保存しています。
『ひなげし陽気』の中の「台湾が原発をやめた」の参考記事にさせていただきました。